宗嘉の和菓子:野の舞


 

初夏を思わせるうららかな陽気の中、黄色い小さな蝶が野を舞っています。お目当ての花を見つけてひと休み。静かで美しい1シーンを宗嘉が切り取って和菓子に仕立てました。

 宗嘉の和菓子の色は、いつも無理のない自然なもの。それが私たちの心をホッと和ませます。
茶室の中に居ながら、いつも自然を近くに感じられる幸せを思います。
 
 楊枝にあらがわず柔らかな感触の練り切り。
口に含むと優しい甘さが広がります。
身体に負担のかからないちょうどいい甘さ。
それでいてしっかりと和菓子として存在感もあり、その後の抹茶を心待ちに作法の一つ一つを見届けます。
 
 抹茶を喫む、その時に宗嘉の和菓子は完成するようで、口の中に残る微かな甘さと抹茶の苦味が重なります。ここで一つ深い息が漏れるのです。

 片手に収まる小さな和菓子。
両手の平で包んでいただく一服の抹茶。
このわずかな量で十分に満たされる。
そのような大人の心の在り方に、本当の豊かさを感じるのであります。

2021年04月30日